第四章 イスラム建築/Arquitectura de era Islámica コルドバのモスク/Córdoba


ダマスカスのカリフ継承争いから逃げのびたウマイヤ朝の王子アブ・ダ・ラーマンI世(756−788年)はコルドバを首都として西イスラム帝国の基礎を築いた。彼はシリア出身で、故郷ダマスカスの大モスクを回想し、そこに一大モスク建設を思いたつが、これが後にコルドバのモスクと呼ばれるものである。
その建設は785年に西ゴート様式のサン・ヴィセンテ教会を10万ディナーレスで買い取ることから始まった。当初は5千人収容の11の身廊を持つ、169ヘクタールの規模で、それを8万ディナーレスを費やして 、北アフリカのモスクに範を求めてつくられたが、いまだモスク自体の形式が確立されておらず、イスラム5様式のいずれにも属さないことになる 。


グァダルキビール川の対岸からモスクを眺める。この橋は古代ローマ帝国がA.D.1世紀に建設したもので、これを想えばコルドバというのは何と歴史の重みのある街でしょうか。
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