3/13 ボデーガ・デ・ガラーフ


ガラーフの村 魚師はいなく、今では漁港にヨットハーバーが出来ている 昔の漁師の小屋は休暇用の住宅になっている

ここにひとつの謎がある。それは通称ボデーガ・デ・ガラーフBodega de garrafと呼ばれるバルセロナ郊外に建てられた、小さな別荘風の小規模な住宅にまつわるものである。と同時にマエストロにまつわる謎でもある。
その建物は母屋と管理人小屋、そして大きな納屋のような建物、また要塞の塔のようなものから構成されている。この中で母屋と管理人小屋とは明らかに一体となっていて、設計者は同じ人であるのは明解だ。れんがと石の混ざった組石構造になり、全体への入口となっている門に当たるところには鉄細工の美しい門扉が付いている。パラボラ・アーチのメイン・ゲートに付けられた垂直材から直角に、つまり水平にキャンチレバーのように伸びた材は、45度に細いワイヤーで垂直軸上から吊り下げられ、垂直軸下部からは矩形の門扉を対角線で切るようにもう一つの材が伸び、全体に躍動感を与えている。それで作られた3角形の下部は、漁村ガラーフを象徴するかのように鉄細工の網となって、門の開閉ごとに揺らぐようになっている。水平材には忍び返しが細工され、それがガウディのベジュスグアルド邸の門扉を連想させている。
この門を潜ると母屋が左手、その右にはかつての馬小屋を改造したワイナリーがある。このワイナリーからこの建物がボデーガ・デ・ガラーフ、つまりガラーフのワイナリーと一般的には呼ばれる由縁である。本来は母屋がメインではなく、倉庫風の建物がメインなのである。母屋の方は石造で、ワイナリーへの渡り廊下が延びて、全体では一つのコンプレックスを作ろうとしている。しかし、ワイナリーの方はもともとここにあった別の用途だろうか、明らかに別の設計者であることが分かる。


左手がイスラム時代?の塔、中央の屋根がかつてワイナリーがあったことろで現在はレストラン 更に右手がボデーガ・デ・ガラーフと呼ばれる建物

手前に門番小屋、その奥に母屋が見える

メイン・エントランスの門扉と右側の門番小屋

ガラーフの文字が刻まれている

門扉を内側から見る

最近レストランになってから金が入れられた

門扉を検分される山口廣さん